人工透析の合併症の1つである、透析アミロイド症の原因と症状、予防法についてまとめています。
透析アミロイド症とは、透析アミロイドーシスとも呼ばれる合併症の1つ。人工透析は長きにわたって続けるものですが、治療が長期間になると十分に除去しきれないベータ2ミクログロブリン(β2-ミクログロブリン)という老廃物が体内に蓄積していきます。
大量に溜まったベータ2ミクログロブリンはアミロイドという物質を生成し、それが骨・関節・靭帯といった組織に沈着。痛みをはじめとする、さまざまな障害を引き起こします。これが透析アミロイド症です。
ばね指とは、指を動かす腱にアミロイド物質が沈着して起こる症状。腱は指の曲げ伸ばしに必要な組織ですが、この部分にアミロイドが溜まるとうまく曲げ伸ばしができなくなったり、痛みや腫れといった症状が見られたりすることもあります。
手根管症候群とは、手首の腱にアミロイド物質が蓄積し、正中神経を圧迫することで起こる症状。小指をのぞく4指に痛みやしびれが見られるのが特徴で、手術をすることで改善が見込めます。
透析アミロイド症による関節痛はさまざまな部分で見られますが、もっとも顕著なのが肩。透析中や終了間近になると痛みが強まり、痛みで横になれないといったケースも見られます。症状の軽減には、主に非ステロイド性の抗炎症剤が用いられます。
透析アミロイド症の進行を防ぐには、原因となるベータ2ミクログロブリンを積極的に除去することが重要。しかし、ベータ2ミクログロブリンは通常の透析膜だと十分に除去しきれないため、より高性能な透析器とクリーンな透析液を使用することが必要となります。
また、ベータ2ミクログロブリンの除去能が高い血液濾過透析を導入することも、透析アミロイド症の予防につながります。しかし、現在のところ透析アミロイド症を完全に予防する方法は見つかっていません。正しく人工透析を受けるとともに、体内の老廃物をできるだけ減らせるよう、食事療法などにも力を入れるようにしましょう。
特集
人工透析と共に
酵素を取り入れる
腎臓への負担をできるだけ軽くするためには、体内の老廃物を減らすことが重要。そのために必要と考えられるのが酵素です。
酵素は消化・吸収・代謝・排泄といった生命活動に必要不可欠なもの。体内の酵素を増やすことが腎臓を助けることにつながると考えられるのです。