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人工透析における低血圧・高血圧について

血圧のコントロールは、心不全や脳血管疾患をはじめ、人工透析による合併症発生を左右する因子の1つとなっています。ここでは、人工透析の方に生じやすい低血圧および高血圧の原因からその予防法ついてまとめています。

人工透析で低血圧がおきる理由

人工透析では、体内の余分な水分や老廃物を人工的に除去するため、必然的に透析中の血圧変動は生じてしまいます。

透析中に生じる低血圧は、除水による循環血液量減少や血管収縮能低下、心機能障害などが主な原因です。また、長年人工透析を続けている方は、徐々に低血圧に移行する場合もあります。

他にも降圧剤の効きすぎやドライウエイトが合っていないことなども低血圧を起こす原因です。高齢者や糖尿病の方で、自律神経障害や動脈硬化、心機能の低下がみられる場合には特に注意が必要とされています。次に、人工透析により起こりやすい低血圧について、透析中と透析後に分けて詳しくみていきましょう。

透析中に生じる低血圧(透析低血圧)

人工透析では、血液中の老廃物をきれいにするだけではなく、体内水分量の調節も行います。これを「除水」といいますが、透析間の体重増加が多い場合には、除水量が多くなってしまうため、低血圧を生じやすくなります。

除水量は、透析間の体重増加によって変わるため、塩分や水分の摂りすぎには十分な注意が必要です。

また、ドライウエイト(正常血圧でむくみなどが生じていない、透析直後の体重)が適正でない場合にも低血圧は起こりやすくなります。

ドライウエイトは常に同じ数値ではなく、太れば上がり、痩せれば下がるものです。ドライウエイトは人工透析の一指標であり、低すぎると結果として除水量が多くなってしまい、低血圧を招くため、定期的に評価を受けることが望ましいとされています。

透析後に生じる低血圧(起立性低血圧)

透析中だけではなく、透析後に低血圧が生じる場合も少なくありません。透析後に生じる低血圧で多いのが「起立性低血圧」です。通常、透析によって循環血液量が減少すると、自律神経反射によって血管が収縮し、血圧低下を予防します。

しかし、高齢や糖尿病などによる自律神経反射障害がある場合では、この反射が上手くできず、ベッドから立ち上がった際の立ちくらみやめまいなどの症状が現れることがあります。これが起立性低血圧です。

ただし、必ずしも立ちくらみやめまいの症状が現れるわけではなく、急激な意識消失(失神)や立ち上がって数分後に血圧が急降下するという場合もあるため、注意が必要です。

人工透析で高血圧がおこる理由

人工透析の三大合併症とされる「心不全」「感染症」「脳血管系疾患」のうち、心不全と脳血管疾患の危険因子として深く関わっているのが高血圧。

人工透析の導入時、すでに高血圧症状がみられるケースが多いようです。腎機能の低下により、水分・塩分の排出が不十分となり、体液量が増えてしまう事が高血圧の主な原因といわれています。

そのため、人工透析と並行して高血圧の治療や降圧剤の服用を行う場合も少なくありません。

しかし、人工透析の場合、透析中や透析後に低血圧が起こるリスクもあるため、通常の場合に比べ、血圧のコントロールが難しいという面があるようです。

次に、人工透析でおこりやすい高血圧について詳しくみてみましょう。

本態性高血圧

本態性高血圧とは、遺伝や生活習慣などが原因となる高血圧のことです。人工透析の方に限らず、一般的に高血圧と診断されている方の90%ほどがこのタイプといわれています。

人工透析の方の場合、腎機能低下により水分や塩分の排出が不十分になることで、高血圧が引き起こされやすいようです。

しかし、その他にも高血圧を引き起こす要因としては、飲酒や喫煙、ストレスや肥満などがあり、これらの要因が重なり合って高血圧を引き起こしている可能性もあります。

また、糖尿病がある場合には、糖尿病性神経障害による高血圧の場合もあるため、注意が必要です。

腎血管性高血圧

腎臓の血流が悪くなると、腎臓から血圧を上昇させる「レニン」という物質が出され、その作用により腎臓のみならず全身の血圧が上昇する場合があります。これが、腎血管性高血圧です。

腎臓の血流が悪くなる原因としては、腎動脈が狭くなってしまうことなどが挙げられます。

本態性高血圧に比べ、頻度は少ないようですが、例えば以前より血圧のコントロールが安定しなくなってきたり、急激な高血圧が生じたりという場合にはこちらの高血圧を疑う場合もあるようです。

低血圧・高血圧を予防するには

人工透析による低血圧・高血圧を予防するには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

低血圧予防には、水分・塩分の摂りすぎに注意することが最も重要です。

起立性低血圧の場合には、透析後の急激な動作は避け、ベッドから立ち上がる際には、一旦腰かけて血流を落ち着かせてから立ち上がるようにするとよいでしょう。

高血圧の予防にも、水分・塩分の摂りすぎに注意が必要。あわせて適度な運動も心掛けることで、ストレス解消にもつながるため効果的です。

降圧剤が処方されている場合には、自己判断で服用法を変えることはせず、必ず医師の指示通りに服用しましょう。

毎日決まった時間帯に血圧を測る習慣をもつことも、自身の血圧を把握する上で大変効果的です。

高血圧は、合併症を引き起こす最大の危険因子ともいえます。別名サイレントキラーともいわれるほど無症状まま進行し、突然最悪の事態を招く場合もありますので、十分な管理が不可欠です。

人工透析の血圧コントロールは低血圧にも高血圧にも注意が必要であり、易しいものではありませんが、体の状態に合わせた食事管理や服薬などをきちんと継続していくことが予防のポイントとなります。

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