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人工透析における腎性貧血について

一般的な鉄欠乏性貧血とは異なり、腎機能低下により引き起こされる貧血を腎性貧血といいます。ここでは、腎性貧血の原因から予防法までを詳しく解説していきます。

腎性貧血とは

貧血とは、血液中の赤血球が減少し、体中に酸素が運ばれにくくなった結果、体内が酸欠になってしまった状態の事です。通常、赤血球は骨髄で産生されますが、何らかの理由で赤血球が少なくなると、腎臓からエリスロポエチンという造血ホルモンが出てきて、貧血にならないように赤血球の産生を調節します。

しかし、人工透析をしている場合など、腎機能が低下している状態では、赤血球が減少していても造血ホルモンを産生・分泌することができません。また、赤血球の産生を妨げる尿毒素が体内に蓄積しやすい状態でもあります。これらの要因によって、貧血が進行し、動悸や息切れ、倦怠感などの症状が現れたものを腎性貧血というのです。

なぜ腎性貧血になるのか

腎臓は体内の老廃物を排出させるだけではなく、血圧調節や造血ホルモンの産生・分泌といった内分泌系にも大きく関わっている臓器です。そのため、腎機能が低下している場合には、これらに関連した様々な合併症が起こりやすくなります。

その1つが腎性貧血。腎性貧血は、本来であれば、赤血球が少なくなった際に、腎臓で産生・分泌される造血ホルモンが、機能低下により産生・分泌されないためにひきおこされる合併症です。また、尿毒素が赤血球の産生を妨げることから、尿毒素の蓄積も原因とされています。

腎性貧血の診断基準

腎性貧血の診断には、通常の貧血と同様に、ヘモグロビン値(Hb)が用いられています。人工透析をしている方の場合、月2回程度(透析施設により回数は異なる)の採血を行ない、Hb値が基準の範囲にあるかを定期的にチェックすることで、腎性貧血への対応をしている透析施設が多いようです。

2015年に日本透析医学会が発表した「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」によると、人工透析をしている方のHb目標値は、週初め(透析前)の採血で、10g/dl以上12g/dl未満とされています。

ただし、心疾患などの既往や個々の体調により、治療の開始時期や休止時期などは異なる場合もあるようです。

腎性貧血を治療するには

腎性貧血の治療には、一般的にESA(赤血球造血刺激因子製剤)が用いられます。現在日本では、エポジン、エスポー、エポエチンアルファBS、ネスプ、ミルセラという5種類のESAが使用可能です。

ESA投与により、Hb値を目標値の範囲内に維持することが腎性貧血治療の主体となりますが、十分な投与を行なっても貧血の改善がみられない場合もあるようです。これには様々な原因があり、その中で最も多いのは鉄分不足といわれています。

赤血球の主な成分は鉄分であるため、十分なESAが投与されていても、それに反応する鉄分が不足していたのでは赤血球は産生されず、貧血も改善できないままというわけです。

また、人工透析をしている方の場合には、透析回路への残血や頻回の採血などにより、鉄分が喪失しやすい状況でもあるため、必要に応じて鉄剤などによる鉄分の補給を行うことにより、ESAの治療効果を高める場合もあります。

腎性貧血を予防するには

腎性貧血の予防には、定期的な採血により、Hb値を把握しておくことが大切です。その上で、鉄分不足にならないような食生活を心掛けましょう。

だからといって、鉄分を多く含む食べ物ばかりを食べればよいということではありません。鉄分を多く含む食べ物を意識することは大変良いことなのですが、鉄分の多い食べ物にはリンやカリウムが多く含まれているものもあり、食べ過ぎてしまうと、かえって腎臓に負担をかけてしまう場合も。以下のポイントを参考に、バランスのとれた食事をこころがけましょう。

医師から指示されている基本事項をきちんと守れば、人工透析をしているからといって食べてはいけないものはありません。毎日の食事をバランスよくしっかりと食べることが自然と鉄分の補給にもつながり、腎性貧血の予防となります。

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