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慢性糸球体腎炎の原因・症状・治療法

ここでは、慢性糸球体腎炎の原因や症状、治療法などについて詳しく解説しています。尿検査などで偶然発見されることの多い慢性糸球体腎炎。長く自覚症状のない状態が続きますが、放置すれば、やがて各種の自覚症状を経由して慢性腎不全にいたる恐れがあります。予防するためには、定期的な健康診断を受けることが大切です。

慢性糸球体腎炎とは

慢性糸球体腎炎とは、腎臓の糸球体という組織に生じる炎症のこと。炎症の原因には様々なものがありますが、それら原因を問わず腎臓の糸球体に生じる炎症のことを総称して、慢性糸球体腎炎と言います。

慢性糸球体腎炎の診断方法

慢性糸球体腎炎は、健康診断などの尿検査を通じて発見される例が大半です。たんぱく尿とともに血尿が見られ、かつ、この症状が1年以上にわたって持続した場合、慢性糸球体腎炎と診断されます。

慢性糸球体腎炎の治療法

既述のとおり、慢性糸球体腎炎は腎臓における一連の炎症の総称であることから、治療法は一律ではありません。原因に応じた適切な治療法が選択されることになります。
ただし、いずれの治療法においても、症状の程度が著しく重度である場合を除き、基本的には通院治療が原則。定期的に外来受診し、症状が悪化しないよう検査・管理することが治療の目的となります。なお通院治療の最終目的は、「腎不全にならないようにすること」です。

慢性糸球体腎炎の原因

慢性糸球体腎炎の原因には、さまざまなものがあります。直接的な原因は、IgA腎症や膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、急速進行型糸球体腎炎などです。
これら原因の背景には、遺伝的なものや免疫機能上のものがあると考えられていますが、現状、根本的な原因は分かっていません。

慢性糸球体腎炎の直接的な原因として、もっとも多く見られるものがIgA腎症です。慢性糸球体腎炎を誘発する原因の約40%が、IgA腎症とも言われています。
以下、IgA腎症の概要や症状、治療法などについて詳しく理解していきましょう。

IgA腎症

IgA腎症とは、腎臓の糸球体と呼ばれる組織に、免疫グロブリンのIgA(たんぱく質の一種)が沈着する病気のこと。慢性糸球体腎炎の直接的な原因疾患として、もっとも多く見られる病気です。
長時間かけて状態が少しずつ悪化していく「慢性」の経過をたどる病気で、腎生検(腎臓組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)を通じて診断されます。
なおIgA腎症は、厚生労働省から難病(指定難病66)に指定されています。

IgA腎症の患者数

国内におけるIgA腎症の患者数について、正確なデータはありません。疫学的調査によると、およそ33,000人の患者が国内にいるものと推計されています。なおIgA腎症は、腎生検を経て発見される病気の中では最多の数にのぼります。

IgA腎症を好発しやすいタイプ

一般に腎臓病は加齢にともなって増加する傾向がありますが、IgA腎症は、子供から大人まで年齢を問わず発症します。また、海外では男性に多い病気と報告されていますが、国内における患者の男女比は確認されていません。
まれに患者の家族にIgA腎症を認めることがあるため、多数ではないものの遺伝の関与も指摘されています。

IgA腎症の診断の経緯

後述するとおり、IgA腎症の初期では自覚症状がありません。よって、体調不良などの検査で発見されるのではなく、健康診断における尿検査で偶然発見されることが大半です。
尿検査を通じてたんぱく尿と血尿が確認され、その後の持続的な検査を経て、最終的に腎生検によりIgA腎症と診断されます。

IgA腎症の症状

IgA腎症の初期段階では、自覚症状がありません。なおかつ、自覚症状がない状態が長期的に続きます。
逆に言えば、何らかの症状を自覚した段階で、症状はかなり進行しているものと考えられます。無症状のうちに対処できるよう、定期的な健康診断をかならず受けるようにしましょう。
以下、IgA腎症が進行した後の自覚症状について詳しく見ていきます。

上気道炎

上気道炎とは、喉頭・咽頭・鼻腔など、呼吸器系統の上部に発症する炎症のこと。ウイルスを原因とした上気道炎は、一般に「風邪「」と呼ばれますが、IgA腎症を原因とした上気道炎もまた、風邪と同様の症状が上気道に現れます。

扁桃炎

扁桃炎とは、喉の扁桃と呼ばれる組織に生じる炎症のこと。モノを飲み込むとき、喉に痛みを自覚するのが一般的です。細菌性の風邪をひいた際に好発する疾患として知られています。

腸炎

腸炎とは、小腸や大腸に生じる炎症の総称。下痢や便秘など、便通に関わる症状が見られます。

血尿

血尿とは、尿に血液が混じる症状のこと。IgA腎症の場合、コーラのような濃い色の尿を確認することがあります。

高血圧

高血圧とは、血液を全身に送るための心臓のポンプの働きが、一定値よりも高い状態のこと。上の血圧が140以上、または下の血圧が90以上を示したとき、高血圧と診断されます。一般に自覚症状はありません。

腎不全の各種症状

IgA腎症の進行を放置すると、やがて慢性腎不全へといたります。その結果、浮腫(むくみ)や頻尿、倦怠感、貧血、皮膚のかゆみなど、慢性腎不全に見られる各種症状を自覚します。

IgA腎症の治療法

現状、IgA腎症の原因が不明瞭であるため、根本的な治療法は確立されていません。一般的には食事療法と薬物療法が併用されますが、原因不明ながらも治療成績は良好です。

IgA腎症は厚生労働省の指定難病

IgA腎症は難病の一つに分類されています。難病とは、「発病の原因が不明」「治療方法が確立されていない」「希少な疾患」「長期の療養を要する」という4つの要件を同時に満たした病気のこと。このことからも分かるとおり、現状、IgA腎症を根治させる方法はありません。
なお、これら難病の中でも、厚生労働省が法律に基づいて医療費助成の対象に指定している病気を、指定難病と言います。IgA腎症は「指定難病66」に指定されているため、治療に際し、患者は国の医療費助成制度を利用することができます。

日本独自の治療法「扁桃腺摘出+ステロイド療法

近年、IgA腎症の治療法として、扁桃腺の摘出とステロイド療法の併用が有効であるとの報告があります。実際の治療成績も良好のようです。
なお、この「扁桃腺摘出+ステロイド療法」(ステロイドパルス療法と言います)を初めて開発したのは、日本の金沢医療センター。以後、日本中に広く普及した治療法ですが、2013年現在でステロイドパルス療法を行っているのは我が国だけです。
「どのような患者にも効果があるのかどうか」「症状に応じたステロイドの使用量はどの程度か」等々、まだまだ研究の余地がある治療法として、世界では認められていないのが実情です。

食事療法

IgA腎症の治療プロセスでは、かならず食事療法が行われます。具体的には「十分なカロリー補給」「たんぱく質制限」「塩分制限」「カリウム制限」です。

たんぱく質の制限を行うと、必然的に総摂取カロリーが低下します。カロリー不足になると、窒素代謝物が増えて慢性糸球体腎炎の進行に拍車をかけてしまうため、食事療法においては十分なカロリー摂取が必要となります。
具体的には、体重1kgに対して34~40kcalが理想。体重50kgの患者であれば1日に1,700~2,000kcal、体重70kgの患者であれば1日に2,380~2,800kcalの摂取が望まれます。

薬物療法

IgA腎症の薬物療法では、患者の状態に応じ、さまざまな薬剤が利用されます。具体的には、主に、以下の6種類の薬剤が利用されています。

慢性糸球体腎炎の症状

一般に無症状とされる慢性糸球体腎炎ですが、何らかの理由で、状態を長く放置していると、やがて各種の自覚症状を経て慢性腎不全にいたる恐れがあります。

長期間にわたり無症状のまま進行

慢性糸球体腎炎に罹患しても、多くの場合は無症状です。自覚症状が少ないことから、何らかの体調不良の検査を通じて発見されるよりも、健康診断の尿検査などを通じて偶然発見されることが多いようです。

放置して状態が悪化すると各種の症状を自覚

ただし、健康診断などの不受診が続き、知らぬ間に状態が悪化してしまうと、やがて血尿やめまい、肩こり、浮腫(むくみ)、頭痛、倦怠感、紫斑などの症状を自覚。さらに症状が進行すると、腎不全や尿毒症の症状(食欲不振、嘔吐、呼吸困難など)が見られることがあります。

年に1回はかならず健康診断を受診しましょう

症状を自覚した段階では、すでに早急な治療が必要とされる場合がほとんどです。治療が必要となる前段階で適切な対処ができるよう、年に1回はかならず健康診断を受けるようにしましょう。

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