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仕事と人工透析を両立する3つのパターン

人工透析とは、腎機能が低下して体内の老廃物や水分を取り除けなくなった人が受ける治療。定期的に受けないと命にかかわるため、多くの透析患者は1回4時間・週3回のスケジュールで人工透析を受けています。

医療施設における透析の時間は決められているため、その時間に通院することが必要。働き盛りの世代にとっては、仕事との両立が非常に難しくなっています。しかし、現在では仕事をしながらでも透析が受けられるよう、いくつかの透析方法が設けられています。人工透析はほぼ永久的に受け続けるものなので、自分のラフスタイルに合わせ、ムリなく続けられる方法を選ぶようにしましょう。

重要5ポイント+サポート!透析治療を受けながら仕事をしよう

透析をしながらであっても社会的地位を確立している、いわゆる透析と仕事を両立している方は多くいらっしゃいます。透析をしながら仕事を始めるのは不安と感じる方は多いと思いますが、ポイントさえ押さえておけば大丈夫です。

透析をしている、時間的な制限が懸念されますが、時代とともに透析の方法も多様化しています。日中に行う透析ばかりではなく、夜間透析やオーバーナイト透析、在宅透析などがあり、自身の仕事の状況に合わせて、透析の方法も選ぶことができるのです。

自分にはどの透析の方法が良いのか、自身の仕事の状況と擦り合わせながらベストな条件を導き出しましょう。ここでは仕事を始めるにあたっての重要5ポイント、受けられるサポートについて紹介していきます。

ポイント1:どんな仕事をしたいか明確に

働くと経済的な自立ができるのはもちろんのこと、人生のモチベーションが高められ、自身の成長につながるという大きなメリットがあります。社会的な存在価値を認められることの達成感は、何ものにも代えがたいものです。

まず仕事を選ぶ上で大切なのは、自分のやりたいこと、実現させたいことを明確にすること。やりたい仕事が分からない場合は、まずは少しでも経験したことがあることや勉強したことがあること、興味のあることを一つひとつ挙げていきましょう。

そして、世の中にどんな職業・職種があるのか情報を得ることが大切です。転職サービスを受ける際も、自分のやりたい仕事を明確にしておくこと、職種を下調べしておくことは、円滑に転職活動を進めていくためにも必須と言えます。

再就職の場合は採用の難易度も高くなるため、絶対に就職する、という強い意志を持って就職活動に取り組むことも重要です。自分のやりたいこと、達成したいことを明確にし、透析を受けながらでもできることから始めていきましょう。

透析をしている以上、心身の不調は少なからずあります。挫折しないよう、仕事をするうえでの心構えを持つこともポイントです。透析しながらも、自分らしく充実した人生を送るために仕事をしていることを忘れずに、目標を持ちましょう。活き活きと仕事をする姿は、今後透析患者さんの就労の受け皿が広がることにもつながりますし、他の透析患者にとって働くことへの希望となるでしょう。

ポイント2:透析治療は長期戦!働きかたを考えよう

透析はずっと付き合っていく治療です。元々していた仕事や持っている資格を活かした仕事も選択肢のひとつですが、透析をしながらでもできる、新たな働き方を見つけることも選択肢のひとつと言えるでしょう。体力的に消耗する透析をしているからこそ、疲れにくい仕事を選ぶことが大切です。

また、正社員にこだわらず最初は契約社員やパートタイム、アルバイトなどの仕事に変えることも選択肢のひとつ。会社から時間的な配慮を受けられることは、仕事を長期的に続けるためにも重要なポイントです。会社員の場合、会社の就業制度にもよりますが、透析の日は早めに退社できることも可能であったり、在宅勤務ができたりする会社もあります。

また、現代は会社に属さずにフリーランスや個人事業主として働く方も増加。透析患者さんにとっても時間の都合がつきやすい点は、大きなメリットと言えるでしょう。個人で仕事をするとなると、収益を出すまでにはそれなりの時間と労力は必要不可欠です。しかし、自分のやりたい仕事、興味のある仕事であれば、モチベーションも維持しながら仕事を続けていくことができるでしょう。

ポイント3:無理のないスケジュール調整で両立しよう

仕事をすればするほど収入は増えるため、無理をしてしまいがちです。透析をするだけでも体は大きな負担を抱えています。健康な方であれば24時間常時働いている腎臓の役割を、週に3回の4〜5時間程度の透析で補います。短時間で腎臓の役割をこなすことはハーフマラソンを走るのと一緒と言われており、特に透析の日は体をいたわることが大切です。気がついたときには体がボロボロに、という事態にならないよう仕事量の調整は必須となります。

仕事をする際に気を付けておきたいのが、スケジュール管理です。透析中は不調になることがあります。そのため、透析後に仕事があると、場合によっては出勤できないケースも。急な休みは会社の信用にかかわる問題にもなります。透析後は特に血圧が下がりやすく、倦怠感も出やすい状況です。透析後すぐには仕事は入れずに、しばらく横になれる時間を確保できるようにしましょう。

また、仕事の後に透析をする夜間透析の際も注意が必要です。残業で透析開始時間に遅れてしまうとなると、大事な透析の時間が削減されてしまい十分な透析時間を確保できません。透析の疲れをしっかり癒やした後に仕事ができる、透析開始時刻に間に合うよう仕事を終えることができる、無理のないスケジュールを組むことが大切です。

健康な方でも体を壊すことはあります。透析患者さんでは尚更、体の健康に関する不安や不調はつきまとうことでしょう。仕事をするにも、透析をするにも、資本になるのは体です。健康面に気をつけながら、無理のないスケジュール調整で透析と仕事を両立しましょう。

ポイント4:職場や家族の理解を得て、協力体制をつくろう

日中の透析から夜間帯の透析に移行する際は、仕事の時間は確保できても本来のプライベートであった時間が少なくなってしまいます。週に3回、夜間透析であれば夜間を通して家を不在にしてしまう形になるため、家族の理解やサポートは必要不可欠と言えるでしょう。

在宅透析は家にいる状況下で透析を行うことができるため、自営業やフリーランスの方に向いている透析の方法です。透析を行う時間帯は基本的に自由ですが、時間を拘束されることにかわりはありません。家にいる時間が長いからこそ、協力的に見守ってもらえるよう家族の理解を得ることが大切です。

就職活動をはじめるときは、家族の意見も確認しながら、透析と仕事を両立できる方法を考えていきましょう。就職活動中は特にストレスも大きく、家族の理解があれば心身両面の負担を軽減できます。仕事を始めてからも慣れるまでは、仕事に透析と疲弊する機会は多くなりがちです。そんな時の精神面の支えは大きいと言えます。

仕事をするメリットを共有することも、仕事への理解を継続させるために重要なポイントです。金銭面など増えた収入は家族に還元しながら、自身だけでなく家族にも仕事をするメリットを感じてもらうようにしていくと良いでしょう。

職場では上司や同僚といった職場の仲間に透析を受けていることの理解を得ることは、仕事を続けていくうえで大切です。まったく知らない方に透析をしていると伝えるのは抵抗があると思うので、親しくなった同僚や直属の上司からでも、少しずつ話せる機会に伝えていきましょう。前もって理解を得ていれば、不調のとき等にもスムーズにサポートを受けることができます。

ポイント5:食事の時間や内容に注意

不摂生な食事はおのずと塩分や水分摂取の量が増えてしまい、体重増加を招いてしまいます。体重増加が多いと限られた透析時間の間に多くの水分を取り除くことになり、血圧が下がってしまうなど体へ大きな負担をかけてしまいます。無理な透析をすると透析の後まで倦怠感が続くことも。場合によっては、翌日まで疲れが残ることがあります。

また、偏った食事を摂るとリンやカリウムが上昇してしまうため、食事への意識は常に必要となります。リンを多く摂取すると血管に石灰が溜まり、動脈硬化を促進。カリウムは筋の脱力感を引き起こします。

昼食の時間がまちまちであり、時間も限られてしまうとなると、どうしても栄養バランスを考えた食事を選ぶことができなくなるので要注意。外食が増えることも塩分過多の原因となりますので、できるがけ控えるようにしましょう。

透析を行う上で合併症を予防するためには、食事の管理は必須です。食事環境も視野にいれ、適切な食時時間をとれる環境であるか、透析への食事に対する理解を得られる職場風土であるかを考慮してください。

透析患者さんへのさまざまな支援

社会的地位を確立しながら、透析治療を受けている患者さんは多くいらっしゃいます。社会的な存在価値を得られることは、透析とともに人生を全うできる有意義な時間を過ごすことにつながるでしょう。

仕事をしている方は、日中は仕事をして夕方の時間帯から透析をする夜間透析のスタイルをとっている方がほとんどです。仕事をしたいけど探し方がわからない、自信がないなどなかなか前に進めないでいる方は、就労相談窓口もあるため、一人で抱え込まずに一度相談してみましょう。

夜間透析を利用しよう

夜間透析は施設によって異なりますが、一般的には17〜18時頃から透析を始め、4〜5時間程度の透析を行います。日中の透析よりも比較的年齢が若い方が多くいます。体調が安定している方であれば、透析中に夕食を取ることも可能です。

透析の開始時刻に間に合うよう時間調整は必要ですが、日中は仕事に専念することができるので、仕事を始める際にも選択しやすい透析方法と言えるでしょう。夜間透析を選択することで、仕事のバランスを上手く取れるはずです。

NPO団体による就労支援窓口を利用しよう

透析患者さんが働けるよう、NPO団体では就労支援事業を行っています。NPO団体の就労支援事業では、就労の機会の提供のほか、職場体験活動や必要な訓練、求職活動のアドバイスなど、相談する方の状況に合わせて様々なサポートを行ってくれます。

仕事をしたいけど自信がない、という方でも問題ありません。心身両面の状態に合わせて、徐々に自信を持てるようサポートしてくれます。一人で抱え込まずに、まずは市町村の相談窓口へ相談してみましょう。

早めに退社できる勤め仕事なら「通院による夜間透析」

夜間透析とは、夕方の時間帯から開始される透析のこと。一般的に17~18時頃に始まることが多く、22時前後に終了します。この夜間透析は、昼間仕事をしていて決まった時間に退社できる、早退などで少し早めに仕事を切り上げられる、残業が少ないといった仕事の方に向いています。ここでは夜間透析のメリット・デメリットはもちろん、夜間透析の体験談なども掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

通院による夜間透析を詳しく知る

18:00以降まで勤め仕事をしているなら「オーバーナイト透析」

オーバーナイト透析とは、寝ている間に医療施設で透析を行い、朝に起床してから帰宅する方法です。透析開始時刻は21~23時となっているため、18時以降まで勤務がある、もしくは残業が多いといった仕事の方でもムリなく透析を受けることができます。ここでは、今注目されているオーバーナイト透析のメリット・デメリットを詳しく解説。オーバーナイト透析の体験談についてもまとめています。

オーバーナイト透析を詳しく知る

在宅・自営業で1日の内に自由な時間があるなら「在宅透析」

在宅透析とは、その名の通り自宅で透析治療を行う方法。自分自身で機械の管理や穿刺などを行う必要がありますが、生活スタイルに合わせて自由に透析ができるため、自営業やフリーランスといった仕事の方に向いています。ここでは、そんな在宅透析のメリットやデメリット、注意点、実際の体験談などをご紹介しています。

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特集

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酵素を取り入れる

腎臓への負担をできるだけ軽くするためには、体内の老廃物を減らすことが重要。そのために必要と考えられるのが酵素です。
酵素は消化・吸収・代謝・排泄といった生命活動に必要不可欠なもの。体内の酵素を増やすことが腎臓を助けることにつながると考えられるのです。