人工透析で血液をきれいにする際に欠かせないのがダイアライザーです。どのような役割があるのか、ダイアライザーが透析を行う仕組みや、性能を決めるポイントについても解説しています。
ダイアライザーは、人工透析の時に患者の血液を浄化する役割を持っています。腎臓が悪くなって排出できなくなった、ナトリウム・カリウム・カルシウム・リン・尿毒素・水分などを除去してくれるのです。ダイアライザーできれいにされた血液を体内に戻すことで、次の透析まで日常生活を送れるようになります。
慢性腎不全になってしまうと、腎臓が体に不要なものを排出してくれなくなります。老廃物や水分が溜まり続けると、最悪の場合命を落とすリスクも。ダイアライザーは人工腎臓とも呼ばれており、本来腎臓が行うべき浄化作業を代わりに行ってくれます。人工透析にはダイアライザーを使う血液透析と自己管理が必要な腹膜透析の2種類があり、血液透析は週3日の通院で1回あたり4時間程度かかります。
ダイアライザーの中には、ストロー状の細い管が約1万本詰まっています。細い管は無数の穴が開いていて、入ってきた血液を必要なものと不要なものに分けていくのです。体に必要な赤血球・白血球・たんぱく質は穴より大きいので管内にとどめられ、反対に、体に不要な老廃物や水分などは穴より小さいため、ダイアライザーに接続された透析液供給装置の方に移動します。不足している成分は透析液で調整し、きれいになった血液をダイアライザーで再び体内に戻します。
ダイアライザーを使った血液透析は、一定時間で老廃物や水分を取り除くことが可能です。さらに、腹膜透析よりも老廃物を排出できるというメリットがあるため、多くの患者が血液透析を利用。透析患者のほとんどが血液透析を選択しているといわれています。
ただし、拘束時間が長いというデメリットから、血液透析と腹膜透析を組み合わせた治療を受けている人たちもいます。自己管理が難しく、かつ仕事で日中に通えない場合は、夜間に血液透析を行っている施設を活用するというのも手です。昔は人工透析を行うとプライベートが制限されるといわれていましたが、いくつもの選択肢が生まれたことで、人工透析との付き合い方は変わってきています。
ダイアライザーの性能は、中に入っているストロー状の管によって左右されます。管に開いている穴(ポア)の大きさや密度が、透析をするうえで重要だからです。ポアの大きさや密度は一定にすれば良いというものでもなく、患者によって取り除くものが変わるので、合うものを揃えて置く必要があります。ダイアライザーは、2018年4月時点で400種類販売されています。
さらに、ストロー状の管をまとめる工程も、性能を決めるうえで大事なポイントとなっています。ストロー状の管はウレタン樹脂でまとめられるのですが、ダイアライザーで血流が塞がれると血流が凝固してしまう可能性があるため、この樹脂表面を滑らかになるようにしなければなりません。ストロー状の管をまとめるときは、血液が上手く流れていくように、管をつぶさず均等に配置することが大切です。
特集
人工透析と共に
酵素を取り入れる
腎臓への負担をできるだけ軽くするためには、体内の老廃物を減らすことが重要。そのために必要と考えられるのが酵素です。
酵素は消化・吸収・代謝・排泄といった生命活動に必要不可欠なもの。体内の酵素を増やすことが腎臓を助けることにつながると考えられるのです。