通院に振り回されないで
あなたのお仕事に
寄り添う人工透析を
人工透析が必要になっても、変わらず仕事を続ける。
人工透析のさまざまなスタイルが確立された今では、その実現も可能です。人工透析をしながら自分のライフスタイルを守るその手引きとして、このサイトの情報が役立てば幸いです。
仕事と両立して透析をする方法は、大きく「夜間透析」「オーバーナイト透析」「在宅透析」の3つに分けられます。
それぞれ、透析を行う時間帯や回数、方法、場所などが異なるため、ライフプランに合わせて選ぶ必要があるのです。
夜間透析 | オーバーナイト透析 | 在宅透析(HHD) | |
---|---|---|---|
体への 負担 |
やや高い | 低い | やや低い |
社会復帰 | やや低い | 高い | 高い |
飲水の 制限 |
やや高い | 少ない | 少ない |
食事の 制限 |
やや高い | やや高い | 少ない |
通院 | 月14回 ほど |
月14回 ほど |
月1回 ほど |
メリット | ・日中の仕事に影響が少ない ・精神的な負担が軽減する ・医療スタッフの対応が早い |
・透析が短く感じられる ・時間を有効活用できる ・体への負担が少ない ・薬の量を軽減できる |
・自分の時間を増やせる ・体への負担が少ない ・合併症のリスクが軽減する |
デメリット | ・体への負担が最も大きい ・仕事を早退する必要がある ・透析後は自力での帰宅が必要 |
・緊急対応が遅くなりがち ・抜針事故が起きやすい ・体重管理・食事管理が厳しい ・睡眠不足に陥りやすい |
・介助者と自己に負担がかかる ・事故の可能性がある ・初期費用がかかる ・自己管理が甘くなりがち |
※上記の内容に関して個人差はあります。
夜間透析は17時~19時頃から透析をスタートし、23時くらいまでに終了する透析。1回4時間程度で週3回が標準的なスケジュールとなっているため、勤務時間が安定していて早めに退社でき、ほぼ決まった時間に通院できる方に向いています。
オーバーナイト透析は21時~23時頃から透析をスタートし、翌朝5~7時くらいに終了する透析。眠っている間に8時間ほど透析を行う長時間透析で、退社時間が遅い方・日中の時間を有効活用したい方に適した方法となっています。
在宅透析とは、患者自身が人工透析の方法を覚え、自宅で透析を行う方法。自営業や在宅での仕事をしている方などに向いています。機械の取り扱いや穿刺などを身につける必要はありますが、生活スタイルに合わせて治療を行えるのがメリットです。
人工透析を受けながら仕事を続けている方の体験談を掲載しています。
ご本人や看護を行う家族の視点から、どのように仕事と人工透析を両立させているのか、ぜひ生の声を参考にしてみてください。
働き盛りの40代で人工透析になり、「ゲーム感覚で前向きに治療を乗り越え再就職を果たした人」「18歳から人工透析になり、周囲の支えでムリなく仕事と両立している人」の体験談をご紹介しています。
「食事制限でストイックに自己管理をしながら仕事を続けている人」「自宅での仕事を続けながら、楽しく食事療法を続けている人」といった、50代で人工透析になった人の体験談をまとめています。
「腹膜透析で仕事を続けながら外出や旅行も楽しんでいる人」「就寝中の腹膜透析でほとんど制限なしで生活を送っている人」といった、60代の人工透析体験談を掲載しています。
「血液透析、血液濾過透析、在宅透析をスタイルを変えながら仕事を続けてきた女性」「人工透析を続けながら学校の教師を続けた女性」など、人工透析と仕事を両立している女性の体験談をまとめました。
「人工透析になった母親の介護に取り組んでいる人」「栄養管理の知識で夫の人工透析を支えた人」といった、看護する家族側の体験談をご紹介しています。
人工透析の種類は、老廃物の濾過方法でも分けられます。
「血液透析」「血液濾過透析」「腹膜透析」それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
日本でもっとも普及している透析方法のため、実施している医療施設が多く、通院可能範囲が広いです。
また、臨床実績も豊富であるため技術的にも安定しています。
あらかじめ決まった時間と施設でしか透析は受けられないため、仕事に支障をきたす可能性があります。
また、透析を受けている時間はベッドに拘束される、2~3日分の老廃物を一度に取り除くため体に負担がかかりやすいなどのデメリットもあります。
血液濾過透析は、通常の血液透析では除去しきれないベータ2ミクログロブリンの除去機能が高くなっており、合併症予防として有効です。
また、血圧低下で透析ができない透析困難症や、心臓に障害を持っている方でも受けられるケースがあります。
たんぱく質の一種であるアルブミンなど、人体に必要な物質まで除去されてしまいます。そのため、栄養障害が起こる可能性があり、食欲が低下している患者さんの場合は注意が必要です。
患者自身で透析を行えるため、自宅や職場などでもできます(在宅透析)。在宅業務の方や仕事が忙しくて通院透析が難しい方に向いている方法です。自己管理ができれば、月1~2回と少ない通院回数で済みます。
また、腹膜透析は血液透析よりもカリウムの摂取制限がゆるやかになります。
患者自身が行う透析のため、自己管理能力の高さが求められます。治療操作は患者と介護者がそれぞれ専門の医療施設で手順を学ぶ必要があります。
また、カテーテルの出口付近は非常に感染しやすくなっているため、常に清潔な状態をキープしていないと腹膜炎などを起こすこともあります。
人工透析を続けると尿の量が減り、体内に老廃物が溜まりやすくなるため、体に負担をかけやすい成分の摂取を控える食事療法が必要です。透析を受けてから次の透析までの体調をできるだけ維持し、透析中の負担を軽くすることが食事療法の主な目的となります。ここでは人工透析の方が気にするべき、基本的な栄養療法についてまとめました。
人工透析を受けている方は尿量が少なく、体内のカリウムを排出しにくくなっています。血中のカリウム濃度が高くなりすぎると手指のしびれ・全身倦怠感といった症状があらわれやすくなるため、カリウムを含む食品の摂取を控える必要があるのです。カリウムはほとんどすべての食品に含まれていますが、とくに注意すべきは果物・イモ類・野菜類。茹でこぼす・水にさらすといったひと手間でカリウムを減らせるため、調理法に工夫をしながら上手に食事をしましょう。
尿量の少ない人工透析の方は、水分を多く摂取すると体内に余分な水分が溜まりやすくなります。水分が溜まると除水量が増えて体への負担が大きくなるため、個人差はありますが、1日の水分摂取量は600~700ml程度に抑えることが重要です。注意したいのは、水分の摂取量は飲み水だけでなく、食事から摂取する水分も含まれるという点。スープ・ラーメン・雑炊・鍋物・シチューといった水分の多い料理は摂りすぎに注意し、加熱することで食品中の水分を減らせる炒める・揚げるといった調理法を上手に使いましょう。
塩分を摂りすぎるとのどが渇き、水を大量に摂取するようになります。すると、余分な水分が体内に溜まるようになり、人工透析の除水量が増加。高血圧やむくみといった症状も起こりやすくなり、心臓に負担がかかってしまいます。これを防ぐため、人工透析を行っている方は塩分摂取量を厳しく管理する必要があるのです。透析患者の1日の塩分摂取量は5~6g以下と言われているため、スープは汁物は避ける、しょう油などの調味料は直接かけない、練り物などの加工品はできるだけ避ける、といった工夫が必要です。
糖質を控える必要があるのは、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症の方。糖尿病による高血糖状態が続くと動脈硬化で腎機能が低下し、最終的には人工透析となってしまいます。糖尿病性腎症の場合の食事は糖尿病食が基本なので、栄養バランスを考慮したメニューで血糖コントロールを行います。ただし、症状が進むとたんぱく質の摂取が難しくなるため、その分のカロリーを糖質・脂質から補う必要が出てきます。そのあたりの調整は、主治医の指示のもとで、しっかりとした食事管理を行いましょう。
脂質の摂取が問題となるのは、糖質と同じく糖尿病性腎症。糖尿病性腎症の患者は脂質異常症を合併しているケースが多いため、症状が初期の場合は脂質の摂取を制限し、運動なども組み合わせて脂質をコントロールすることが重要です。脂質の管理は糖尿病性腎症の進行度合いに関わらず必要ですが、こちらも糖質と同様、たんぱく質の摂取制限が必要となった場合は脂質からエネルギーを補給する必要が出てきます。こうなると、これまで控えていた脂質を適量ならば摂取しても良いこととなります。
人工透析を受けている方は、腎機能が大幅に低下しています。老廃物が増えれば増えるほど腎臓への負担が増大。腎不全がどんどん進行し、人工透析による体への負担も大きくなってしまいます。
腎臓への負担をできるだけ軽くするためには、体内の老廃物を減らすことが重要。そのために必要と考えられるのが酵素です。酵素は消化・吸収・代謝・排泄に必要不可欠なもので、この量が不足すると消化機能がうまく働かなくなり、老廃物の排泄機能もダウン。そのぶん、腎臓に負担がかかることになります。つまり、体内の酵素を増やすことが腎臓を助けることにつながると考えられるのです。
人間が生命活動を行うために必要な酵素について詳しく解説しています。脂肪分解酵素であるリパーゼ、でんぷん分解酵素であるアミラーゼ、たんぱく質分解酵素であるプロテアーゼの働きについても触れています。
腎臓機能の低下を防ぐには、腎臓への負担をできるだけ軽くすることが大事。そのために必要なのが消化酵素です。ここでは、消化酵素と腎臓の関係性や、腎臓に対する酵素の働きについて解説しています。
エビデンスとは、臨床結果などに基づく科学的根拠のこと。このエビデンスが確かなものであるかどうかは、よい酵素を選ぶためのひとつの指標となります。ここでは腎不全の主な原因の1つでもある糖尿病へのエビデンスを持つ「わかなつみの発酵菌」と呼ばれる植物酵素についてご紹介しています。
人工透析を始める前は、腎臓や心臓への負担などを軽減するため安静が必要です。しかし、人工透析を始めたあとは医師からの特別な指示がない限り、安静にする必要はなくなります。つまり運動をしてもよくなるということですが、「運動をしてもしなくてもいい」ではなく、「運動をしなければならない」のが特徴です。人工透析の方はどんな運動療法がよいのか、解説します。
日本透析医学会が調査した「わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在の調査)」によると、透析を受けている方の死因の1位は「心不全」。2位が「感染症」、3位が「脳血管系疾患」となっています。
人工透析の方は腎不全が進行して亡くなっているのではなく、合併症によって命を落としていることが分かります。人工透析を長く続けていくためには、これらの合併症について詳しく知り、日頃からの予防意識を高めることが重要です。
透析患者の死亡理由の第3位となっている、脳卒中などの脳血管系疾患。この合併症を防ぐためには、日頃からのケアや食事療法を徹底することが必要です。どのような取り組みをしたら良いのか、ぜひチェックを。
心不全をはじめとする心血管系疾患は、人工透析患者の死亡原因でトップとなっている合併症。なぜ透析を始めると心血管系疾患が起こりやすくなるのか、その原因と予防法についてまとめています。
体内に老廃物が溜まりやすく、免疫力が低下しやすい透析患者は、一般の人よりも感染症にかかりやすいという特徴があります。どのような感染症にかかりやすいのか、どのように予防したら良いのかをまとめました。
透析を始めて間もない時期に起こりやすい、頭痛や吐き気などの症状を指します。自然に回復するためあまり心配する必要はありませんが、症状を出にくくする方法などがあるので確認しておきましょう。
透析での除去が不十分になりがちなベータ2ミクログロブリンと、アミロイドという物質が骨や関節に沈着することで起こる症状です。どのような症状が現れるのか、予防法とともにチェックしておいてください。
慢性腎不全とは、腎臓の障害・機能の低下が3か月以上継続している状態のことです。腎臓の障害とは尿たんぱくや腎形態異常を指し、腎機能低下とは老廃物を除去する糸球体濾過量が60 ml/分/1.73m2未満の状態をいいます。
初期であれば、生活習慣の改善・食事療養・運動療法で腎機能の回復が見込めますが、あまりに悪化してしまうと回復が不可能となり、末期腎不全へと移行。最終的には、人工透析や腎移植を検討しなければなりません。早期発見には検査が必要であるため、尿検査・血液検査を定期的に受けるようにしましょう。