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栄養不良

透析治療が栄養不良を引き起こすことはご存じでしょうか。透析では不要な栄養を除去することに注目されがちですが、実は透析によって必要な栄養素も除去されてしまいます。そのため透析患者は栄養不良になりやすいといわれており、その結果重大な合併症を引き起こすこともあります。ここでは、透析患者の栄養不良について解説します。栄養不良の原因や対策などをしっかり理解しておきましょう。

栄養不良の原因(理由)

透析療法に伴う栄養障害

透析患者が栄養不良に陥る原因として

などが挙げられます。

なかでも「透析治療による栄養素の排出」は、透析によって余分なリンなどの除去すべき成分だけではなく、体にとって必要な栄養素の一部まで除去されてしまいます。その結果、透析患者は栄養障害に陥り、慢性的に低栄養状態になるのです。

また食事療法の誤解があると、避けるべき食べ物ばかり気にして必要な栄養を十分に摂取できないという問題が起こります。透析患者の栄養不足を避けるためには、透析治療の影響を考慮したうえでの「摂るべき栄養素と適量」を理解することが重要です。

透析によって失われやすい栄養素

透析治療によって失われやすい栄養素として「アミノ酸」「カルニチン」「ビタミンB1」「ビタミンB6」「葉酸」「ビタミンC」などが挙げられます。特にビタミン・ミネラルは失われやすく、不足することで貧血やだるさ、肉体疲労などの原因となることがあります。

栄養不良の種類

透析患者は痩せやすいといわれており、必要体重を満たしていない場合は死亡リスクが高いといわれています。その原因のほとんどが栄養不良によるものですが、透析患者の栄養不良には種類があります。

たんぱく質エネルギー栄養不良(PEM)

透析患者が陥りやすい栄養不良のひとつとして、たんぱく質エネルギー栄養不良(PEM)が挙げられます。これは十分なたんぱく質やエネルギーを摂取できていない状態です。原因は間違った食事制限や生活習慣など。また、透析不足による食欲不振や味覚障害が原因となる場合もあります。

たんぱく質エネルギー消耗(PEW)

たんぱく質エネルギー消耗(PEW)も透析患者が栄養不良となる原因のひとつで、たんぱく質やエネルギーを十分に摂取しているにもかかわらず、消耗(消費)してしまう状態です。透析治療によってアミノ酸が失われるとたんぱく質の合成力を下げてしまい、せっかく摂取したたんぱく質やエネルギーが優先して使われるため、結果としてタンパク質を摂っても不足してしまうのです。運動をしていなくても体のたんぱく質が減ってしまうため、透析患者は多くのカロリーを必要とするともいわれています。

栄養不良(低栄養状態)が続くとどうなるか

MIA症候群

透析患者の栄養不良が続くと「MIA症候群」のリスクが高まります。栄養障害(Malnutrition)、慢性炎症状態(Inflammation)、動脈硬化(Atherosclerosis)の頭文字をとった名称であり、3つの因子が相互に作用して引き起こされる症状です。MIA症候群は透析患者の死亡リスクを上げる重要な合併症であるといわれています。

たとえば透析液がきれいでない場合、体内で炎症を起こすきっかけとなり、食欲不振へつながります。食欲不振の結果低栄養状態となり、動脈硬化や脳心血管系の障害を引き起こすことになってしまうのです。

MIA症候群を避けるために重要なこと

MIA症候群は腎機能不全や透析不足が原因といわれており、適切な透析治療を受けなければ症状が改善しないどころか悪化する恐れもあります。大切なのは対症療法でつないでいくことではなく、精度の高い透析治療を十分に受けることです。

栄養不良(低栄養状態)の予防

十分な栄養摂取・健康管理

透析患者が栄養不良に陥らないためには、食事制限をするのではなく「しっかり食事をしたうえで、その分しっかり透析を受ける」という考え方が大切です。

確かに透析患者にとって、過剰摂取を避けるべき栄養素はあります。しかし食事制限をしてしまうと必要な栄養素を十分に摂取できない状態になり、命の危険すら出てきます。そのため、食事療法について正しく理解したうえでバランスの取れた食事を摂り、十分な栄養素をしっかり体に与えてあげることが重要です。

食事量に合った透析治療

正しい食事療法で十分な栄養を摂取したあとは、透析で除去すべき栄養素を取り除き、栄養バランスの良い状態を目指していきましょう。

透析患者は低栄養状態になりやすいとされていますが、それは「摂取した栄養素が透析によって除去されてしまう」ことや、「透析不足によって尿毒症などを引き起こし、食欲不振になることで栄養摂取が難しくなる」などの原因があります。つまり食事で摂取する栄養が少なくても栄養不良になりますし、透析不足で余分な栄養が残ってしまっても低栄養状態へとつながるということです。

大切なのは「食事で十分に栄養を摂取し、食事量に合わせた透析治療をおこなう」こと。またMIA症候群の原因となる体内の炎症を防ぐために、使用する透析液を常に清潔な状態へ保つことも重要といえるでしょう。

まとめ

このページでは透析患者が陥りやすい「栄養不良」について解説しました。透析を受けていると「透析で不必要な栄養を除去する」ことばかりに注目し、「透析によって失われてしまう栄養素もある」ということを忘れてしまいがちです。透析では必要な栄養素も除去されることもあり、十分に栄養を摂取するよう心がけましょう。そのうえで、食事量に合った透析を受けることが大切です。

また栄養不良については症状がわかりにくく、自分自身で見極めることが難しい場合もあります。そのため医師にこまめに相談し、バランスの良い食事と適切な透析治療を続けていくようにしましょう。

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