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慢性腎不全が招く体の異常

慢性腎不全によって引き起こされる合併症と、発症を防ぐポイントをまとめています。

知っておきたい腎不全の合併症

慢性腎不全によって引き起こされる合併症には、以下のようなものがあります。症状や予防法などについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

高リン血症

腎臓では、毛細血管のかたまりである糸球体によって老廃物が濾過されていますが、腎不全になると濾過機能が低下。普段は腎臓から排泄されるリンが体内に残るようになり、血液中のリン濃度が高くなってしまいます。これを高リン血症と呼びます。

血中のリン濃度が高くなると、血液中のカルシウムとリンが結合してカルシウム濃度が低下。骨がもろくなって骨折しやすくなったり、血管壁にカルシウムとリンがこびりつくことで石灰化が起こり、心血管系疾患・脳疾患系疾患の原因となる動脈硬化が進行しやすくなります。人工透析でもリンは効率よく除去されないため、食事療法やリン吸着薬を併用し、リンの濃度を適切にコントロールすることが必要です。

骨ミネラル代謝異常

骨ミネラル代謝異常は、慢性腎不全の進行に伴って起こる症状です。ミネラルの1つであるカルシウムの血中濃度は、副甲状腺ホルモンとビタミンDによってコントロールされていますが、腎機能が低下するとビタミンDの働きが阻害されてしまいます。これにより副甲状腺ホルモンとビタミンDのバランスが崩れ、血中のカルシウム濃度が低下。骨の強度が落ちて骨折したり、関節痛が起きたりします。

骨ミネラル代謝異常の予防としては、血液中のカルシウム・リンなどの量を定期的にチェックし、濃度を適切に管理することが第一。とくにリン濃度が高くなるとカルシウム濃度が低くなるため、食事療法によるリンの制限が重要です。

動脈硬化

腎臓と血圧には深い関わりがあります。高血圧が長く続くと腎臓の血管がダメージを受け、動脈硬化による「腎硬化症」が起こりやすくなるのです。腎硬化症には、進行スピードがゆるやかな良性腎硬化症と、急激に症状が悪化する悪性腎硬化症の2つがあり、とくに気をつけるべきは悪性腎硬化症。急激に血圧が上昇すると腎不全が急速に進行し、心不全・脳卒中などで死に至るケースが高くなります。悪性腎硬化症の場合は血圧管理だけでなく全身管理が必要となるため、入院で治療を受けることになります。

もちろん良性腎硬化症でも油断はできません。良性腎硬化症の場合は、腎臓だけでなく他の血管でも動脈硬化が同時進行していると考えられるため、心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高まっています。高血圧の食事療法・運動療法が主な治療法となるため、生活習慣をしっかりと見直しましょう。

ビタミンC不足

特定の慢性疾患や腸管吸収障害を持つ一部の方では、ビタミンCの吸着が低下するケースが見られます。人工透析を受けている慢性腎不全の方も例外ではなく、多くの透析患者はビタミンCが不足、あるいは欠乏しています。

不足分については補充することが重要ですが、腎機能が落ちている人工透析の方の場合、ビタミンCを大量摂取すると副産物であるシュウ酸が蓄積しやすいのがデメリット。このシュウ酸は溶解性に乏しいため、血管や筋肉などに沈着して心筋梗塞などを引き起こすこともあります。ビタミンCの摂取については医師や専門家の指示を仰ぎ、適切な補充を心がけるようにしましょう。

尿毒症

腎機能が通常の10%以下まで低下した際、体に現れるさまざまな症状のことを総称して尿毒症と言います。通常は尿によって体外に排出されるはずの老廃物が、腎機能低下によって排出されにくくなって血液中に滞留。その結果として生じる症状全般が尿毒症です。

よく見られる尿毒症の症状としては、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、皮膚のかゆみ、呼吸困難、筋肉の痙攣、出血傾向、貧血、疲労感、網膜剥離、知力低下、昏睡など。尿毒症の症状が発現した時点で、すでに腎臓は末期腎不全の状態となっています。よって極めて危険な状態であり、通常は速やかな人工透析、または腎移植が求められます。
なお腎機能の低下ペースがゆるやかな場合、尿毒症もゆるやかに進行します。そのため自覚症状がなく、検査によって初めて発見されるタイプの尿毒症もあります。

肺水腫

肺水腫とは、肺に水がたまることで息が苦しくなったり、呼吸困難に陥ったりする病気のこと。放置すると生命に関わる重大な症状です。
腎不全が進行して腎機能が低下すると、水分を体外へと排出するための排尿機能も低下します。その結果、体液が過剰となり、肺に徐々に水がたまってしまうことがあります。
腎不全による過剰な体液は、肺のみならず心臓にも負担をかける重大な症状。人工透析を受けている患者のうち死因の第1位は、体液過剰による心不全とされています。
腎臓病と診断された場合、厳しい水分摂取を指示されますが、その理由の一つが、体液過剰による肺水腫や心不全の予防です。

アシドーシス

体が徐々に酸性に傾く状態のことを、アシドーシス、または代謝性アシドーシスと言います。
もともと人間の体は弱アルカリ性。腎臓の働きで酸性の尿を排出すること、および呼吸を通じて肺が炭酸ガスを排出することにより、体は自然と弱アルカリ性へと傾きます。
ところが腎機能が低下すると、排尿機能もあわせて低下することから、体は徐々に酸性へと向かいます。加えて、上で説明した肺水腫の影響なども手伝い、炭酸ガス排出機能も低下して体は酸性へと向かいます。
アシドーシスと診断されても、自覚症状はほとんどありません。ただし、アシドーシスは、以下で説明する高カリウム血症を誘発することがあるため、たとえ無症状であったとしても、決して放置できる症状ではないと理解しましょう。

高カリウム血症

もともとカリウムは体に良いとされるミネラル。一時流行した「バナナ健康法」は、バナナにはカリウムが多く含まれているということが、その健康法の根拠でした。体に良いとされるトマトジュースや野菜ジュースにも、たくさんのカリウムが含まれています。
確かに健康に良いカリウムですが、腎不全によって排尿機能が低下している人がカリウムを過剰に摂取するのは危険です。血中のカリウム濃度が異常に上がり、いわゆる高カリウム血症へと進行するからです。
過剰なカリウムは、特に心臓の働きに影響を与えます。不整脈や心臓発作を誘発する恐れがあるので、腎臓病の人はカリウムの摂取を控えなければなりません。

低カルシウム血症

低カルシウム血症とは、文字どおり、血中のカルシウム濃度が低下した状態のことです。
腎機能が低下すると、ビタミンDの働きが阻害されます。ビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートする代表的な成分の一つ。この働きが阻害されることによりカルシウムが吸収されにくくなり、結果として低カルシウム血症を招くことがあります。
低カルシウム血症の初期段階では、ほとんど症状はありません。やや進行しても自覚症状を訴えない人が大半です。ただし、ご存知のとおりカルシウムは骨を作ったり強化したりする大事なミネラル。転倒などによって強い力が骨にかかった場合、骨折するリスクがあるので注意しなければなりません。口周りや手足のしびれ、白内障、不整脈などの症状を自覚する人もいます。

合併症と症状まとめ

腎不全になると、体にはさまざまな合併症が生じてきます。それら合併症の中には、健康なときでも現れる症状も含まれているため、たとえ合併症のようなものを自覚したとしても、すぐに腎不全を疑う人は少ないでしょう。

しかしながら、よく言われるように腎臓は「沈黙の臓器」です。合併症を自覚した時点で、すでにステージは進行している可能性があるので、安易な予断は禁物です。当ページでご紹介した合併症の症状をよく確認し、類似の症状を自覚した場合には、一度、病院で検査を受けてみるべきでしょう。

なお、腎不全が進行しはじめたときに現れる典型的な症状は、むくみ・頻尿・夜間尿・だるさ・貧血・皮膚のかゆみなど。これら症状が複数同時に現れ、かつ長く続いている場合には、腎不全の進行が疑われます。ステージが進行しないうちに、速やかに医療機関を受診してください。
腎不全になる前に
腎不全を予防するためには、日常生活の見直しも非常に重要な要素となります。中でも、食生活は特に重要なポイントです。ビタミンやミネラルのバランスが取れた食材を摂るとともに、代謝をサポートする酵素を含んだ食材を積極的に摂るようにしましょう。

参考元

厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイト
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/16.html

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